かぐらかのん

本や映画の感想などを書き記していくブログです。

哲学

日本文学における実存と構造

" data-en-clipboard="true"> " id="実存主義の起源">* 実存主義の起源 「実存主義」とはいわば「哲学への叛逆」から始まりました。周知の通り、古代ギリシアにおいてソクラテスによって創始された「哲学」なる営為は、その後継者であるプラトンとアリスト…

哲学と反哲学

" data-en-clipboard="true"> " id="哲学の起源">*「哲学」の起源 「哲学」という言葉は直接的には「Philosophy」という英語に由来します。しかしこの「Philosophy」という言葉も元を辿れば「Philosophia」という古代ギリシア語をそのまま引き写したものに…

【書評】動物化するポストモダン(東浩紀)

* 動物化--ポスト神経症的欲望の到達点 かつて1960年代に一世を風靡した「構造主義」の首領にして精神分析中興の祖として知られるジャック・ラカンは人間の精神活動を「想像界」「象徴界」「現実界」という三つの位相の絡み合いの中で、その心的構造を「…

なぜ「一気」に「短期」に「完璧」になのか--人生がときめく片付けの魔法(近藤麻理恵)

*「環境」を変えることで「自分」を変える 人生がときめく片づけの魔法 改訂版 作者:近藤麻理恵 河出書房新社 Amazon 人生がときめく片づけの魔法2 改訂版 人生がときめく片づけの魔法 改訂版 作者:近藤麻理恵 河出書房新社 Amazon 我々が日々行なっている…

八正道と六波羅蜜は何がどう違うのか--寂聴仏教塾(瀬戸内寂聴)

寂聴仏教塾 (集英社文庫) 作者:瀬戸内寂聴 集英社 Amazon * 渇愛から慈悲へ 仏教では愛を二つに分けます。ひとつは「渇愛」であり、もうひとつは「慈悲」です。人間は基本的に渇愛の生き物です。渇愛とは際限なく見返りの愛を求める利己的な愛です。こうし…

【書評】現代思想入門(千葉雅也)

現代思想入門 (講談社現代新書) 作者:千葉雅也 講談社 Amazon * フランス現代思想の批判力 第二次世界大戦後、長らく思想や文化における知的流行の最先端を担ったフランス現代思想の軌跡は一般的に「構造主義からポスト・構造主義へ」という流れで理解され…

行動療法的アプローチによる仏教入門--反応しない練習(草薙龍瞬)

" data-en-clipboard="true"> 反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」 作者:草薙龍瞬 KADOKAWA Amazon " data-en-clipboard="true">*「八つの苦しみ」にどう向き合うか 我々の日常はしばし何かへの執着とか何かへのイライ…

【書評】現代の精神分析(小此木圭吾)

" data-en-clipboard="true"> 現代の精神分析 フロイトからフロイト以後へ (講談社学術文庫) 作者:小此木啓吾 講談社 Amazon " data-en-clipboard="true">* フロイト理論を読み解く6つのモデル 精神分析とは19世紀末、オーストリアの精神科医ジークムント・…

正義なき時代における正義の在り処--これからの「正義」の話をしよう(マイケル・サンデル)

" data-en-clipboard="true"> これからの「正義」の話をしよう ──いまを生き延びるための哲学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 作者:マイケル・サンデル,鬼澤 忍 早川書房 Amazon " data-en-clipboard="true"> * 政治としての正義、哲学としての正義 いわ…

思い込みと真理の在り処--現象学(木田元)

" data-en-clipboard="true"> 現象学 (岩波新書) 作者:木田 元 岩波書店 Amazon " data-en-clipboard="true"> * 生成変化する現象学 現象学は当初、その創始者であるエトムント・フッサールのもとで「厳密学としての哲学」を目指して出発したはずが、いつの…

【書評】時間と自己(木村敏)

" data-en-clipboard="true"> 時間と自己 (中公新書) 作者:木村敏 発売日: 2019/10/11 メディア: Kindle版 " data-en-clipboard="true"> *「〈もの〉としての時間」と「〈こと〉としての時間」 我々の生きるこの世界は〈もの〉と〈こと〉という二つの位相か…

【書評】実存と構造(三田誠広)

実存と構造 (集英社新書) 作者:三田誠広 発売日: 2015/07/03 メディア: Kindle版 * 実存主義の萌芽 近代哲学を創建したルネ・デカルトはあらゆる存在を一旦疑うところから自らの哲学を立ち上げました。その結果、デカルトはこの世界に確実に存在していると…

「誤配」に満ちた「私小説」--ゲンロン戦記(東浩紀)

ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる (中公新書ラクレ) 作者:東浩紀 発売日: 2020/12/11 メディア: Kindle版 *「誤配」の実践拠点 東浩紀氏はその鮮烈なデビュー作「存在論的、郵便的(1998)」において、フランスの哲学者、ジャック・デリダのある時期にお…

【書評】デリダ 脱構築と正義(高橋哲哉)

" data-en-clipboard="true"> デリダ 脱構築と正義 (講談社学術文庫) 作者:高橋哲哉 発売日: 2016/09/16 メディア: Kindle版 " data-en-clipboard="true">* 形而上学と反-哲学 西洋哲学史はプラトン哲学の註釈史であるという有名な言葉があります。西洋哲学…

存在の問いと生の在り処--「ハイデガー『存在と時間』入門(轟孝夫)」

" data-en-clipboard="true"> ハイデガー『存在と時間』入門 (講談社現代新書) 作者:轟孝夫 発売日: 2017/07/28 メディア: Kindle版 " data-en-clipboard="true">* 未完の欠陥商品 そのいかにも哲学書然とした荘厳なタイトルに重厚な記述。「20世紀最大の哲…

価値を変える知の考古学--「ミシェル・フーコー 近代を裏から読む(重田園江)」

ミシェル・フーコー ――近代を裏から読む (ちくま新書)作者:重田園江発売日: 2014/01/31メディア: Kindle版 * フーコー愛に溢れた一冊 人は知らず知らずのうちにある種の固定観念で世界を捉えます。その固定観念の枠内にいる限り、時としてその世界は非常に…

【書評】わたしの哲学入門(木田元)

わたしの哲学入門 (講談社学術文庫) 作者:木田元 発売日: 2014/05/23 メディア: Kindle版 * 哲学の〈難しさ〉の正体 哲学とはなにか?これ自体が一つの哲学的問いであり、哲学とは今ひとつ実体のはっきりしないわけのわからない領域と言えます。にも関わら…

「あたりまえ」を解体する実践知--「フランス現代思想史(岡本裕一朗)」

フランス現代思想史 構造主義からデリダ以後へ (中公新書) 作者:岡本裕一朗 発売日: 2019/03/15 メディア: Kindle版 * ソーカル事件 「ソーカル事件」というものをご存知でしょうか?1995年、ニューヨーク大学の物理学教授、アラン・ソーカルは、いわゆる「…

悦びと生成変化のあいだ--「ドゥルーズ 流動の哲学(宇野邦一)」

ドゥルーズ 流動の哲学 [増補改訂] (講談社学術文庫) 作者:宇野邦一 発売日: 2020/02/10 メディア: Kindle版 * バランスの良いドゥルーズ哲学入門書 1960年代、フランス現代思想のトレンドは「実存主義」から「構造主義」へと変遷しました。レヴィ=スト…

「憐れみ」によって手を取り合うということ--「テーマパーク化する地球(東浩紀)」

テーマパーク化する地球 ゲンロン叢書 作者:東 浩紀 発売日: 2019/06/14 メディア: Kindle版 *「観光客の哲学」の舞台裏あるいは実践録 1990年代後半以降、日本社会においては「大きな物語」の失墜と呼ばれるポストモダン状況がより加速したと言われていま…

環境の外側に立つということ--人はみな妄想する-ジャック・ラカンと鑑別診断の思想-(松本卓也)

人はみな妄想する -ジャック・ラカンと鑑別診断の思想- 作者:松本卓也 発売日: 2015/04/24 メディア: 単行本 * 実存主義から構造主義へ 1960年代、フランス現代思想のトレンドは「実存主義」から「構造主義」へと変遷しました。ジャン=ポール・サルトルに…

二層構造の時代における新たな公共性--「哲学の誤配(東浩紀)」

哲学の誤配 ゲンロン叢書 作者:東 浩紀 メディア: Kindle版 * 二層構造の時代における哲学 1994年、かつての「ニューアカデミズム」を牽引した浅田彰氏と柄谷行人氏が編集委員を務める「批評空間」第Ⅱ期第3号に「幽霊に憑かれる哲学--デリダ試論」と題さ…

対話による「新しい現実」の創出--「オープンダイアローグがひらく精神医療(斎藤環)」

オープンダイアローグがひらく精神医療 作者:斎藤 環 発売日: 2019/08/23 メディア: Kindle版 * オープンダイアローグとは何か フィンランドの西ラップランド地方トルニオ市にあるケロプダス病院のスタッフを中心に開発された「オープンダイアローグ(OD)…

イロニーからユーモアへの折り返し--「動きすぎてはいけない(千葉雅也)」

動きすぎてはいけない ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学 (河出文庫) 作者:千葉雅也 発売日: 2017/09/15 メディア: Kindle版 * 生成変化の哲学 1960年代、フランス現代思想のトレンドは「実存主義」から「構造主義」へと変遷しました。実存主義とはジャン=…

「思考する快楽」としての勉強--「勉強の哲学(千葉雅也)」

勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版 (文春文庫) 作者:千葉 雅也 発売日: 2020/03/10 メディア: Kindle版 * 「勉強」と「生活」は表裏の関係 我々は社会生活を送る上で多かれ少なかれ「勉強」をしています。入学試験や資格試験など、わかりやすい「勉…

「空気」の外側に立つということ--「原子力時代における哲学(國分功一郎)」

原子力時代における哲学 作者:國分功一郎 発売日: 2019/10/04 メディア: Kindle版 * 「Atoms for Peace」 1950年代とはいうまでもなく「核兵器の恐怖」が世界を支配した時代でした。1949年にはアメリカに続き旧ソ連も原爆を保有したことが公にされ、これに…

幸福の彼方と此方--「創造と狂気の歴史(松本卓也)」

創造と狂気の歴史 プラトンからドゥルーズまで (講談社選書メチエ) 作者:松本卓也 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/03/12 メディア: Kindle版 * 「創造と狂気」の関係を問う 優れた芸術作品やイノベーションがしばし「クレイジー」と形容されるように…

【書評】意味がない無意味(千葉雅也)

意味がない無意味 作者:千葉雅也 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2018/10/26 メディア: 単行本 * 〈意味がある無意味〉と〈意味がない無意味〉 「勉強の哲学」で一世を風靡したかと思えば「デッドライン」で野間文芸新人賞を受賞。自己啓発本から文…

「二層構造の時代」を生きるということ--観光客の哲学(東浩紀)

ゲンロン0 観光客の哲学 作者: 東浩紀 出版社/メーカー: 株式会社ゲンロン 発売日: 2017/12/11 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る * 「観光客」とは何か かつての「オタクの批評家・東浩紀」というイメージからはなんとも程遠いタイトルですが…

いまだにフロイトが読まれるべき理由--フロイト入門(中山元)

* なぜいまフロイトなのか? 我々は自らを理性ある存在として「我思う、故に我あり」とデカルト的に自分自身を理解する一方、思わぬ言い間違い、見たくもない悪夢、そして不安、恐怖、強迫観念といった神経症的症状といった、まさしく「何者か」によって「…