かぐらかのん

本や映画の感想などを書き記していくブログです。

人生

【書評】こころの処方箋(河合隼雄)

こころの処方箋(新潮文庫) 作者:河合 隼雄 発売日: 2013/08/02 メディア: Kindle版 *「常識」なき時代の「常識」を問う 現代とはある意味で「常識」の失墜した時代です。時に誰かの「常識」は別の誰かの「非常識」となり得ます。ソーシャルメディアにおけ…

置かれた場所で咲くための「人格論」講義--「ひと」として大切なこと(渡辺和子)

「ひと」として大切なこと PHP文庫 作者: 渡辺和子 出版社/メーカー: PHP研究所 発売日: 2013/06/07 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る * あの伝説の「人格論」講義を完全収録 かの200万部のベストセラー「置かれた場所で咲きなさい」をお読み…

「ときめき」に耳を傾けるということ--人生がときめく片付けの魔法(近藤麻理恵)

* 「一気」に「短期」に「完璧」に あの片付け本のベストセラーが今年改訂版となって帰ってきました。片づけが苦手な方はこの機会に一読してみるのも良いでしょう。 実は本書はずっと以前、初版の方を読ませていただいたことがあるんですが、その時には「し…

物語を紡ぎ出す力--私が語り伝えたかったこと(河合隼雄)

私が語り伝えたかったこと (河出文庫) 作者: 河合隼雄 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2017/03/31 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る * はじめに 我が国の臨床心理学の礎を築いた知の巨人、河合隼雄氏の思索の軌跡をまとめた一冊です…

「欲望の本質」を見極めるという倫理--凡人として生きるということ(押井守)

凡人として生きるということ 作者: 押井守 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2013/05/31 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る * はじめに 「ビューティフル・ドリーマー」「パトレイバー」「攻殻機動隊」「イノセンス」「スカイクロラ」など、ア…

「幸せはあなたの心が決める(渡辺和子)」〜自由な態度と愛の実践

幸せはあなたの心が決める 作者: 渡辺和子 出版社/メーカー: PHP研究所 発売日: 2015/10/30 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る * はじめに 幸せになる心の在り方とはなんでしょうか。本書を通読して私なりに感じた事を言わせていただければそ…

「生きる意味」を産み出していくということ--それでも人生にイエスと言う(V・E・フランクル)

それでも人生にイエスと言う posted with amazlet at 19.02.03 春秋社 (2014-12-25)売り上げランキング: 18,090 Amazon.co.jpで詳細を見る * はじめに 生きているとやっぱり苦しいこともあるでしょう。この先、何もいいことなんて無いんじゃないかとさえ思…

「愛するということ(エーリッヒ・フロム)」を読む。〜「いかに愛されるか」ではなく、「いかに愛するか」ということ。

愛するということ 新訳版 作者: エーリッヒ・フロム,Erich Fromm,鈴木晶 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店 発売日: 1991/03/25 メディア: 単行本 購入: 33人 クリック: 227回 この商品を含むブログ (122件) を見る * はじめに 不世出の思想家、エーリッヒ・フ…

「今、ここ」を味わい尽くすということ--日日是好日〜『お茶』が教えてくれた15のしあわせ(森下典子)

。 日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫) 作者: 森下典子 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2008/10/28 メディア: 文庫 購入: 13人 クリック: 39回 この商品を含むブログ (37件) を見る * 「お茶」の持つ底なしの深み 本書は著者の森…

「あなたはそのままで愛されている(渡辺和子)」を読む。特異的な「きらめき」に向き合う覚悟。

あなたはそのままで愛されている 作者: 渡辺和子 出版社/メーカー: PHP研究所 発売日: 2018/04/06 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 一昨年に89歳で帰天された「置かれた場所で咲きなさい」の著書、渡辺和子シスターのまさかの新刊です。 未発…

幸せのありかという享楽

幸せになりたいと思わない人は多分あんまりいないと思います。けれども、幸せとは何処にあるのでしょうか? たくさんお金があれば幸せなんでしょうか? 皆から尊敬される地位や愛される容姿があれば幸せなんでしょうか? あるいは、住む家と美味しいご飯があ…

「置かれた場所で咲きなさい」の著者による新訳聖書入門--愛することは許されること(渡辺和子)

「私が私であるということ」。これを「アイデンティティ」と言いますが、何を持ってアイデンティティとするかは極めて難しい問題です。河合隼雄氏は米国の発達心理学者エリク・H・エリクソンの「個人として社会にコミットすること」というアイデンティティ概…

「自己実現」としての「老い」--「老いる」とはどういうことか(河合隼雄)

読売新聞でのコラム連載を基にした110編と免疫学の多田富雄氏との対談。河合先生のエッセイの中でも比較的短く、1編1分くらいで読めます。何気ない文章の随所に、ユング派分析家、あるいはカウンセラーとしての深い洞察が感じられます。 ****** カール…

「愛されたい」から「愛してる」への生き方の転換--置かれた場所で咲きなさい(渡辺和子)

昨年暮れに89歳で天寿を全うされた渡辺和子シスターの言わずと知れたベストセラーです。文章は論旨明晰。シンブルな言葉ながらその文体は凛としていて美しい。 渡辺和子さんという人は9歳だった昭和11年、あの二.二六事件において僅か1m先の眼前で陸軍大将だ…

位相のズレた3つのセカイ--生き延びるためのラカン(斎藤環)

自称「日本一わかりやすいラカン入門書」。多分その看板にそこまで偽りはないと思いますが、何年も前の本ですし、いまさらこんなところで初学者が書評めいたことを書いてもどうかと思いますので、現時点での私的なラカン理解をノート風にまとめておきたいと…