かぐらかのん

本や映画の感想などを書き記していくブログです。

2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

解離の時代における自傷と救済--西尾維新『愚物語』『業物語』『撫物語』『結物語』

* ライトノベルと解離の時代 かつてライトノベルは「キャラクター小説」とも呼ばれていました。この「キャラクター小説」という言葉は例えばあるアニメを起点としてお菓子や文房具といった様々な「キャラクター商品」を商業的に展開していく中で「ノベライ…

「逆張り」は脱構築の夢を見るか--綿野恵太『「逆張り」の研究』

*「逆張り」の諸相 もともと「逆張り」とは株式相場の流れに逆らって売買する投資手法を指す言葉でした。例えば「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェットは逆張り(コントラリアン)で知られています。彼は2009年のリーマンショックでは経営危機に陥…

脱構築と公共性--東浩紀『訂正可能性の哲学』

* 訂正可能性--『存在論的、郵便的』の核心部 現代を代表する批評家/哲学者である東浩紀氏が1998年に世に放ったデビュー作『存在論的、郵便的』はフランスの哲学者ジャック・デリダが1970年代に書いた奇妙なテクスト群に光を当てた画期的なデリダ論として…