かぐらかのん

本や映画の感想などを書き記していくブログです。

2017-12-01から1ヶ月間の記事一覧

【書評】精神分析の四基本概念(ジャック・ラカン)

ジャック・ラカン 精神分析の四基本概念 作者:ジャック ラカン 岩波書店 Amazon 衒学性に満ちた難解奇抜な理論と人を煙に巻くような独特な語り口にもかかわらず、精神分析のみならず現代思想の領域においても未だにカリスマ的人気を誇るジャック・ラカン。そ…

いろいろな「好き」の共生。「愛されたい」と「愛している」の違い。--カードキャプターさくら(CLAMP)

「カードキャプターさくら」という作品はご存知でしょうか?1996年から2000年まで「なかよし」に連載され、本来の読者層である小中学生女子のみならず幅広い層を熱狂させ、その一世を風靡。その後も人気は全く衰える事が無いどころか、年を追うごとに着実に…

「こころの最終講義(河合隼雄)」を読む。自己実現という円環。「物語」の崩壊と再構築。

京都大学での最終講義を含む河合隼雄先生の講演集です。各講義はばらばらの機会にされたものですが、全体を通じて見ると「自己実現の過程における物語」と言うようなテーマに収斂しているように思えます。 まず、今や伝説とも称される京都大学退官記念講義「…

「置かれた場所で咲きなさい」の著者による新訳聖書入門--愛することは許されること(渡辺和子)

「私が私であるということ」。これを「アイデンティティ」と言いますが、何を持ってアイデンティティとするかは極めて難しい問題です。河合隼雄氏は米国の発達心理学者エリク・H・エリクソンの「個人として社会にコミットすること」というアイデンティティ概…

「自己実現」としての「老い」--「老いる」とはどういうことか(河合隼雄)

読売新聞でのコラム連載を基にした110編と免疫学の多田富雄氏との対談。河合先生のエッセイの中でも比較的短く、1編1分くらいで読めます。何気ない文章の随所に、ユング派分析家、あるいはカウンセラーとしての深い洞察が感じられます。 ****** カール…