かぐらかのん

本や映画の感想などを書き記していくブログです。

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

つぎはぎだらけの関係性を紡いでいくということ--星の子(今村夏子)

星の子 (朝日文庫) 作者:今村 夏子 発売日: 2020/01/31 メディア: Kindle版 * 特異な文体と普遍的な寓話性 現代を代表する作家、村上春樹氏は小説とは作家と読者との「信用取引」で成立しているといいます。そして、その「信用維持」において氏がもっとも重…

【書評】わたしの哲学入門(木田元)

わたしの哲学入門 (講談社学術文庫) 作者:木田元 発売日: 2014/05/23 メディア: Kindle版 * 哲学の〈難しさ〉の正体 哲学とはなにか?これ自体が一つの哲学的問いであり、哲学とは今ひとつ実体のはっきりしないわけのわからない領域と言えます。にも関わら…

「あたりまえ」を解体する実践知--「フランス現代思想史(岡本裕一朗)」

フランス現代思想史 構造主義からデリダ以後へ (中公新書) 作者:岡本裕一朗 発売日: 2019/03/15 メディア: Kindle版 * ソーカル事件 「ソーカル事件」というものをご存知でしょうか?1995年、ニューヨーク大学の物理学教授、アラン・ソーカルは、いわゆる「…