かぐらかのん

本や映画の感想などを書き記していくブログです。

2025-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「主人公」を生きるということ--宮島未奈『成瀬は信じた道をいく』

*「価値」を創り出すということ 人は自分でも知らず知らずのうちに自ら作り出したさまざまなルールのなかで生きています。この点、行動療法では「言語」も「行動」の一つとして捉えられており、このうち言語の「話し手」の行動は「言語行動」といいます。と…

消費社会の論理と全体主義の論理--國分功一郎『目的への抵抗』『手段からの解放』

*「消費」の外部としての「浪費=贅沢」 國分功一郎氏が2011年に公刊した『暇と退屈の倫理学』は第2回紀伊國屋じんぶん大賞を受賞するなどその当初から人文書としては異例の話題を呼び、公刊から10年以上経つ現在でも幅広い層に読まれ続けるロングセラーと…

さまざまな「好き」のかたちに出会い直すために--松浦優『アセクシュアル・アロマンティック入門』

* LGBTQの片隅から 性の多様性を考察する比較的新しい学問領域であるクィア・スタディーズは社会的には1980年代に世界各国のゲイコミュニティが直面したHIV/AIDSという問題を受けて、学問的にはフランス現代思想におけるポスト構造主義の影響の下で成立しま…