かぐらかのん

本や映画の感想などを書き記していくブログです。

2025-09-01から1ヶ月間の記事一覧

アソシエーションの論理とケアの倫理--阿部暁子『カフネ』

* アソシエーションとは何か 戦後日本を代表する文芸評論家の1人である柄谷行人氏は後期の主著『世界史の構造』(2010)において「交換様式A(互酬)」「交換様式B(略取-再配分)」「交換様式C(商品交換)」という3つの「交換」のあり方から社会や歴史を…

現代思想における「斜め」の空間--松本卓也『斜め論--空間の病理学』

* 垂直と水平のあいだとしての「斜め」 20世紀を代表する哲学者の1人であるマルティン・ハイデガーはその主著『存在と時間』(1927)において現存在としての人間の意味を時間性のなかにみようとする思考を展開し、大陸哲学に巨大なインパクトをもたらしまし…

「孤独」の価値を問い直す--宇野常寛『ラーメンと瞑想』

* 都市にはラーメンを食べて死ぬ自由があり、瞑想するための場所がある 『ゼロ年代の想像力』(2008)で鮮烈なデビューを果たして以降、特撮やアニメーションのポップカルチャー批評で知られる批評家の宇野常寛氏は初の社会批評となる『遅いインターネット…