かぐらかのん

本や映画の感想などを書き記していくブログです。

2024-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ライトノベルのリズムとノイズ--西尾維新『忍物語』『宵物語』『余物語』『扇物語』『死物語』

* ライトノベルの成立条件 文芸批評家の柄谷行人氏は『日本近代文学の起源』(1980)において日本文学における「一つの認識論的布置」としての「風景の発見」は明治20年代に起きた「言文一致」という運動によって生まれた新たな文体によって可能になったと…

17音で世界を切り取るということ--神野紗希『もう泣かない電気毛布は裏切らない』

* 17音の魔法 言葉によって織り成されるさまざまなテクストはその言葉に宿る「意味」と「リズム」のいずれかを重視するかによって「散文」と「韻文」に大別されます。ここでいう「散文」とは小説、随筆、論文、法律、手紙、新聞記事、SNSのつぶやきなどを典…

リズムとしての読書--現代思想2024年9月号『特集=読むことの現在』

*「読書離れ」の諸相 先月末より「秋の読書推進月間(2024年10月26日〜11月24日)」が始まっています。これは2022年から始まった全国の書店が参加する業界規模のキャンペーンであり、各地では作家を招いて本の魅力を伝えるイベントなどが開催されているよう…