* 心身の不調に関わる「血流」
漢方医学と現代医学の統合的観点から、血流を増やす方法を紹介する一冊です。
心臓を出た血液は1分間で全身をめぐりまた心臓へと帰ってくる、この流れが「血流」です。
血液は全身を流れることで、水分を保ち、酸素、栄養、ホルモンを全身の細胞に届け、老廃物や二酸化炭素を回収し、体温や免疫を維持する役割を果たしており、心と体の様々な悩みはこの血流に深く関係していると本書は言います。
すなわち、本書によれば血流の問題は、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞といった血管が詰まる病気はもちろんのこと、生理痛、不妊症、肩こり、ひざ痛、果てはガンや認知症といった病気、さらには、鬱や自律神経失調症などの精神疾患、やる気が出ない、自信がない、イライラするといった心の悩みにまで関わっているということです。
* 目指すべきは「血流たっぷり」
ところで「血流」を改善するということはいわゆる「血液サラサラ」の状態を想像しがちですが、本書はまず目指すべきは「血流たっぷり」であるという。
けど、特にメタボでもない「血」が足りていない人が、いくら血液をサラサラにしても意味がなく、それどころか足りない血流を無理やりサラサラにして全身に巡らせると逆に体調を崩してしまうこともあるそうです。
また、漢方でいう「血」とは単に「血液」だけでなく血液中の栄養やホルモンなどをも含む概念である。つまり「血流たっぷり」というのは「血の質」をよくするという意味合いもある。
すなわち、血を増やして血流を良くするというのは細胞レベルで体の働きを活性化し重大な病気や不調を防ぐことにつながるわけです。
* 気虚・血虚・瘀血
本書は血流が悪い理由は体質と密接に結びついていると言います。すなわち「血が作れない」のは「気虚体質」に、「血が足りない」のは「血虚体質」に「血が流れない」のは「瘀血(おけつ)体質」と関わっているそうです。
気虚体質は、身体面では胃腸関係の不調が目立ちます。また精神面ではやる気が出ないといった特徴があります。
血虚体質は、身体面では、老化を促進する傾向があり、女性の場合婦人科系のトラブルが目立ちます。また精神面ではすぐに不安になるという特徴があります。
瘀血体質は、身体面では低血圧の人が多く、朝起きれない、体がだるい、肩こり、頭痛、めまい、耳鳴りなどの症状が目立ちます。また精神面では、イライラしやすかったり自分の感情をコントロールできなかったりする傾向が見られます。
血流が悪い人はだいたいこのどれかに当てはまり、下手すると3つの全ての体質が当てはまるケースもあるようです。
ゆえに血流を良くするにはこの体質を根本的に改善しなければならないということです。
* つくり、ふやし、めぐらせる
この点、重要なのは必ず「気虚」「血虚」「瘀血」の順番に改善して行くことであると言います。血は作れないから足りなくなり、足りないから流れないのであり、血の量が絶対的に足りていない状態で血を流してしまうと逆に不調をきたしてしまうそうです。
一番に取り組むべき「気虚」の改善の目安は「朝、きちんとお腹が空いてること」です。これは胃腸が丈夫になったということです。
次に「血虚」の改善の目安は夢を見ることが減ったり、朝スッキリ起きられるようになることです。
そして血が増え始めてきたところで満を持して「瘀血」の体質改善に取り組むという流れになります。
本書では、まず最初の一週間は食事改善(本書第三章)に集中し、次の二週目に睡眠改善(本書第四章)を加え、三週目から生活習慣改善(本書第五章)を取り入れ、順番に「気虚」「血虚」「瘀血」を改善していくプログラムを提案しています。
ここでは第三章の「血をしっかり作るための食べ方10の真実」の見出しだけ紹介しておきます。
① 満腹より空腹がいい
② 「一週間夕食断食」で胃腸がよみがえる
④ 夕食断食をすると、内側から若返る
⑤ パン食よりごはん食がいい
⑥ ほうれん草では鉄分を補えない
⑦ 血流不足にマクロビはすすめない
⑧ 血を増やしたければ肉食女子になりなさい
⑨ 下腹ぽっこりは血流の大敵
⑩ 命への感謝が血をつくる
* おわりに
上記の見出しを見て「本当?」って驚かれた方もいるんじゃないでしょうか?
スマホで適当に検索した断片的なヘルスケア情報を鵜呑みにして「私は健康に気を使っている」と思い込むのはまずいということですね。なんとなく不調が気になるけど、どこからどう手をつけていいのかわからないという向きには参考になるかもしれません。