かぐらかのん

本や映画の感想などを書き記していくブログです。

心理学

逆境の時こそ、前向きな言葉を使いましょう。

最も有名な心理学理論の一つにレオン・フェスティンガーの提唱する認知的不協和理論というものがあります。人はそれまでの認識や信念(認知A)とは矛盾する出来事(認知B)を突きつけられた時、ストレス(不協和)を感じることから、そのどちらか一方の認知…

集中力と低GI食品

GI値というのをご存知でしょうか?GI値とは、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、ある食品が体内で糖に変わり血糖値が上昇するスピードをいいます。 主にダイエットやグルコーススパイク予防などで注目されるGI値ですが、実は「集中力」と…

「ていねいに生きること」と「生産性」

「置かれた場所で咲きなさい」著者である渡辺和子シスターはその著書の中で折に触れて「ていねいに生きること」の大切さを強調されています。 「あたりまえのこと」、時には「つまらないこと」を、心をこめて実行することの大切さが、最近、忘れられています…

「お世辞を言う」のではなく「賛嘆する」と考えてはいかがでしょうか?

ある心理学の実験によれば「発言のほとんどで、根拠のないお世辞を言いまくった場合」と「発言の一部に、根拠のあるお世辞を盛り込んだ場合」と、「全くお世辞を言わなかった場合」で、最も相手の好感度が高かったのは最初の「発言のほとんどで、根拠のない…

「こころの最終講義(河合隼雄)」を読む。自己実現という円環。「物語」の崩壊と再構築。

京都大学での最終講義を含む河合隼雄先生の講演集です。各講義はばらばらの機会にされたものですが、全体を通じて見ると「自己実現の過程における物語」と言うようなテーマに収斂しているように思えます。 まず、今や伝説とも称される京都大学退官記念講義「…

無意識と格闘するということ--昔話の深層(河合隼雄)

本書は「ヘンゼルとグレーテル」「いばら姫(眠れる森の美女)」といった、あのグリム童話の数々をユング心理学の視点で鮮やかに読み解いていく目から鱗のグリム童話解説です。 河合隼雄先生といえば、面白エッセイストとか対談の名手、あるいは文化庁長官と…

包み込む母性原理と切り離す父性原理--カウンセリングを語る(河合隼雄)

本書は四天王寺カウンセリング研修講座の講演録です。聴衆は主に学校の先生方で、当時は校内暴力が社会問題化していたという背景もあり、主に中高生にどう接していくかという点に主眼が置かれている。似たような話が形を変えて何度も出てきますが、そこから…

「自信がなくても幸せになれる心理学」を読む。褒めると人は輝く。そして、その輝きはあなたに返ってくる。

本書はハインツ・コフートの自己心理学の入門としては現時点での決定版ではないでしょうか。和田先生はコフートの入門書を何冊か著されていますが、本書はともかく実践に重きが置かれている。人を褒めるのに苦手意識を感じる人へお勧めです。 「褒めてはいけ…

同感するということ、共感するということ

コミュニケーションにおける一つの技法として、よく「同感するのではなく共感することが大事です」などと言われますが、この二つは一体どう違うのでしょうか? 一般的な辞書的意味において、「同感」とは「同じように考えること、同じように感ずること」を言…

エロマンガ先生最終話における「芸術の論理」と「去勢の論理」

honeshabri.hatenablog.com エロマンガ先生の最終話において、沙霧ちゃんの書いたエロマンガの局部描写にはモザイクがかけられており、ムラマサ先輩の書いたミケランジェロのダビデ象は無規制であったという問題です。 結論からいえばこれは社会常識的に妥当…

「個人心理学講義(アルフレッド・アドラー)」を読む。優越性の追求から劣等コンプレックスへ至る導線。

本書は成立における諸般の事情も相まって「読みにくい」とか「体系だっていない」という評価もありますが、それはその通りだと思います。 また『嫌われる勇気』で大きくクローズアップされている、勇気づけ、課題の分離などについてはあまり立ち入った考察は…

「傾聴」と「勇気づけ」

アドラー心理学の説く「勇気付け」と傾聴技法というのはかなりの部分、クロスオーバーする領域だと思うんですよ。 勇気付けというのは定義的には「横の関係による援助」です。アドラーの対人関係論から言えば、評価、操作の関係である「縦の関係」は劣等コン…

「アドラー流一瞬で心をひらく聴き方(岩井俊憲)」を読む。傾聴×勇気付けという組み合わせ。

アドラー理論と傾聴技法を架橋しようという試みが感じられる1冊。 前半4分の1位がアドラー理論の簡単な紹介であとは傾聴技法の解説。 要点の箇条書きスタイルなので、あっという間に読めます。 一般的な傾聴技法の他に、アドラー心理学独自の「勇気づけ」…

「幸せになる勇気(岸見一郎・古賀史健)」を読む。運命の人などいないのか、という問題。

「結論から申し上げますと、アドラーの思想はペテンです。とんだペテンです。いや、それどころか、害悪をもたらす危険思想と言わざるをえません。(本文より)」 現実に打ちひしがれ3年ぶりに「哲人」の書斎を訪れる「青年」。物騒な雰囲気の中で幕が上がる…

「嫌われる勇気(岸見一郎・古賀史健)」を読む。「課題の分離」から「共同体感覚」へ。

フロイト・ユングと並び称され、欧米で絶大な支持をもつと言われるアドラーの個人心理学をソクラテスメソッドでわかりやすく説くというコンセプトで書かれてベストセラーとなった『嫌われる勇気』。 「哲人」が語る「トラウマを否定する」「承認欲求も否定す…

人見ルミ「心を整えるマインドフルネスCDブック」

集中力の向上、不安やイライラの解消、不眠対策など汎用的に使えるということで。前から興味あったマインドフルネスの本を読んでみました。この本は薄くて文章も平易であっさり読めて、しかもCDもついて値段1296円とお手ごろ。本書に書いてあることが全てで…

かがみのように共感するということ

人は誰かから「悩み相談」など受けた時、どうしてもつい、何か「アドバイス」をしたくなるものですよね。 しかし、アドバイスは概して役に立たないことが多いと言われます。もちろん、客観的な情報提供で物事が解決する時もあるでしょう。例えば、相談の中身…

アドラー心理学に馴染めない方にお勧めしたいユング心理学の不思議な世界--無意識の構造(河合隼雄)

再読です。このところずっとラカンばっかり読んでたけど、久しぶりに原点回帰というか、河合隼雄先生の本が読みたくなって、久しぶりに本棚から引っ張り出してきました。 河合隼雄先生っていうと、なんか、面白エッセイストとか、あるいは文化庁長官をやって…

「こころの天気図(河合隼雄)」を読む。ふんわり受け止めるということの難しさ。

長らく絶版本だったが今年装いを新たに復刻。かの名著「こころの処方箋」のアンサーソング的な立ち位置のエッセイ集ですが、こちらは聞き書きスタイルなので何ともふんわりとした優しい語り口に仕上がっています。 著者は言わずと知れた生粋のユング派分析家…