かぐらかのん

本や映画の感想などを書き記していくブログです。

哲学

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これから西田幾多郎に入門するためのおすすめ5冊

* 日本哲学入門(藤田正勝) 日本哲学入門 (講談社現代新書) 作者:藤田正勝 講談社 Amazon ⑴ 日本哲学のはじまりと西田幾多郎 日本における哲学の歴史は一般的にはPhilosophyを「哲学」という日本語に訳したことでも知られる西周が行った哲学講義によって始…

正しさとことばづかい--朱喜哲『バラバラな世界で共に生きる リチャード・ローティの哲学』

* 分極化の時代における哲学の使命 西洋哲学の起源は古代ギリシャに遡ります。プラトンやアリストテレスといった古代ギリシャの哲学者は「普遍とは何か」について考えました。この「普遍とは何か」という問いは中世のキリスト教神学に影響を与え「神(普遍…

これから現代思想にざっくり入門するためのおすすめ5冊

* 現代思想入門(千葉雅也) 現代思想入門 (講談社現代新書) 作者:千葉雅也 講談社 Amazon ⑴ 今なぜ現代思想か 最近「現代思想」がちょっとしたブームのようです。おそらくそのきっかけとなったのは気鋭の哲学者、千葉雅也氏が昨年3月に公刊した『現代思想…

これから東浩紀に入門するためのおすすめ7冊

* 訂正する力(2023年) 訂正する力 (朝日新書) 作者:東 浩紀 朝日新聞出版 Amazon ⑴「訂正可能性」から読み解く東思想 昨年、批評家デビュー30周年を迎えた東浩紀氏は1993年にかつての「ニューアカデミズム」を牽引した柄谷行人氏と浅田彰氏が編集委員を務…

これからラカン派精神分析にざっくり入門するためのおすすめ5冊

* 疾風怒濤精神分析入門(片岡一竹) 疾風怒濤精神分析入門 ジャック・ラカン的生き方のススメ 作者:片岡一竹 誠信書房 Amazon ⑴ 精神分析とは何か 精神分析とは19世紀末、オーストリアの精神科医ジークムント・フロイトが当時、謎の奇病とされたヒステリー…

【書評】精神分析の四基本概念(ジャック・ラカン)

ジャック・ラカン 精神分析の四基本概念 作者:ジャック ラカン 岩波書店 Amazon 衒学性に満ちた難解奇抜な理論と人を煙に巻くような独特な語り口にもかかわらず、精神分析のみならず現代思想の領域においても未だにカリスマ的人気を誇るジャック・ラカン。そ…

「悪の凡庸さ」と「語り口」の問題

* イェルサレムのアイヒマン 20世紀を代表する政治哲学者、ハンナ・アーレントには1963年に公刊した『イェルサレムのアイヒマン』という大変有名な著作があります。ここでいう「アイヒマン」とは、ナチスの戦犯であるアドルフ・アイヒマンのことです。アイ…

八正道と六波羅蜜は何がどう違うのか--寂聴仏教塾(瀬戸内寂聴)

寂聴仏教塾 (集英社文庫) 作者:瀬戸内寂聴 集英社 Amazon * 渇愛から慈悲へ 仏教では愛を二つに分けます。ひとつは「渇愛」であり、もうひとつは「慈悲」です。人間は基本的に渇愛の生き物です。渇愛とは際限なく見返りの愛を求める利己的な愛です。こうし…

これから國分功一郎に入門するためのおすすめ5冊

* 暇と退屈の倫理学(2011年) 暇と退屈の倫理学(新潮文庫) 作者:國分功一郎 新潮社 Amazon ⑴ 消費から浪費へ 現代日本を代表する哲学者の1人である國分功一郎氏が2011年に公刊した『暇と退屈の倫理学』は第2回紀伊國屋じんぶん大賞を受賞するなどその当…

二層構造の時代における新たな公共性--「哲学の誤配(東浩紀)」

哲学の誤配 ゲンロン叢書 作者:東 浩紀 メディア: Kindle版 * 二層構造の時代における哲学 1994年、かつての「ニューアカデミズム」を牽引した浅田彰氏と柄谷行人氏が編集委員を務める「批評空間」第Ⅱ期第3号に「幽霊に憑かれる哲学--デリダ試論」と題さ…

思弁的実在論と加速主義

* ポスト・ヒューマニズムの時代 14世紀のルネッサンス期に起源を持つ「ヒューマニズム」という言葉は、これまで「人文主義」や「人道主義」や「人間中心主義」などといった微妙に異なるニュアンスで用いられてきましたが、いずれにせよ「ヒューマニズム」…

これから千葉雅也に入門するためのおすすめ5冊

* 勉強の哲学(2017年) 勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版 (文春文庫) 作者:千葉 雅也 文藝春秋 Amazon ⑴ 自由になるための自己破壊としての「深い勉強」 日本における現代思想シーンを牽引する哲学者の1人である千葉雅也氏はフランス現代思想にお…

データベースからアルゴリズムへ--三宅香帆『考察する若者たち』

* データベース消費の現在地 ゼロ年代を代表する批評家である東浩紀氏はその代名詞的著作である『動物化するポストモダン』(2001)において近代的な「大きな物語」が機能不全となった現代ポストモダンにおける個人の消費行動を「物語消費」から「データベ…

脱構築と公共性--東浩紀『訂正可能性の哲学』

* 訂正可能性--『存在論的、郵便的』の核心部 現代を代表する批評家/哲学者である東浩紀氏が1998年に世に放ったデビュー作『存在論的、郵便的』はフランスの哲学者ジャック・デリダが1970年代に書いた奇妙なテクスト群に光を当てた画期的なデリダ論として…

西田幾多郎と京都学派

* 西田幾多郎とは何者なのか 日本を代表する哲学者、西田幾多郎(1870年〜1945年)の前半生は意外と波乱に満ちたものとなっています。金沢の旧制四高をその校風に反発して中退した西田は、1894年に東京帝国大学の選科生(現代でいうところの聴講生)を修了…

超越論的経験論から観る哲学史--國分功一郎『ドゥルーズの哲学原理』

* ドゥルーズ哲学の枢要部 20世紀を代表する哲学者の1人であるジル・ドゥルーズは1925年、フランスはパリ17区に生まれました。高校最終学年の哲学の授業で「これこそ自分のやるべきことだ」という天啓に打たれたドゥルーズはソルボンヌ大学で哲学を学び1948…

【書評】デリダ 脱構築と正義(高橋哲哉)

" data-en-clipboard="true"> デリダ 脱構築と正義 (講談社学術文庫) 作者:高橋哲哉 発売日: 2016/09/16 メディア: Kindle版 " data-en-clipboard="true">* 形而上学と反-哲学 西洋哲学史はプラトン哲学の註釈史であるという有名な言葉があります。西洋哲学…

闇のライフハックとしての現代思想--ニック・ランドから『闇の自己啓発』へ

* 自己啓発の功罪 「自己啓発」なる言葉は当初、高度経済成長期下の労務管理の文脈において用いられていましたが、1980年代以降はニューエイジと呼ばれる精神世界と結びつき、やがて1990年代になるとオウム真理教をめぐる報道の中でそのイメージを悪化させ…

自由意志なき自由を生きる--國分功一郎『中動態の世界』

*「私が歩く」とは能動なのか受動なのか 我々は日々あらゆる行為を「能動(する)」と「受動(される)」に分類しています。そして外形的にはまったく同じ行為でも状況次第で例えば「仕事をする」「家事をする」「勉強をする」という「能動(する)」にもな…

近代美学と日常美学--井奥陽子『近代美学入門』×青田麻未『「ふつうの暮らし」を美学する』

* 美学とは何か 「美学」とは美や芸術について考える哲学です。「美学」という学問は18世紀のヨーロッパで誕生し、日本には明治時代に、そのほかの西洋文化とともに流入してきました。「美学」という言葉はその原義に立ち返ると「感性の学」を意味していま…

日本国憲法と中空構造--國分功一郎『天皇への敗北』

* 日本国憲法と戦後民主主義 1945年8月15日、日本政府のポツダム宣言受諾を伝える玉音放送によって太平洋戦争が事実上終結します。連合軍の占領と改革に対する人々の不安が渦巻く中、8月12日には占領軍の先遣隊が厚木に到着し、続いて30日には連合国軍最高…

暮し・ねじれ・戦後民主主義

* 戦後民主主義と花森安治 山本昭宏氏は『戦後民主主義』(2021)において日本における戦後民主主義を次のように総括しています。「戦後民主主義」の前提にあるのは当たり前ですが「民主主義」です。ここでいう「民主主義」における「民」とは誰のことを指…

規律権力と生政治

" data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true"> *「人間学的思考」の起源を問い直す 1960年代、フランスにおける思想界のトレンドは「実存主義」から「構造主義」へと変遷します。ジャン=ポール・サルトルに代表される実存主義は人が独自の「実…

九鬼周造と現代思想の倫理

*〈父〉と〈母〉の分裂 日本哲学を代表する哲学者の一人である九鬼周造は1988年(明治21年)に男爵九鬼隆一の四男として東京に生まれました。九鬼家の祖先は戦国時代に伊勢志摩を本拠として活躍した伊勢水軍です。周造の父、九鬼隆一は1852年(嘉永5年)の…

戦後民主主義と訂正可能性

* 戦後民主主義の到達点 國分功一郎氏は新著『天皇への敗北』(2026)において戦後憲法学を切り口として日本の戦後民主主義を論じています。同書はその冒頭で日本を代表する憲法学者樋口陽一氏の言葉を引き、戦後日本の憲法学者たちは単に憲法の専門家であ…

いまだにフロイトが読まれるべき理由--フロイト入門(中山元)

* なぜいまフロイトなのか? 我々は自らを理性ある存在として「我思う、故に我あり」とデカルト的に自分自身を理解する一方、思わぬ言い間違い、見たくもない悪夢、そして不安、恐怖、強迫観念といった神経症的症状といった、まさしく「何者か」によって「…

「愛するということ(エーリッヒ・フロム)」を読む。〜「いかに愛されるか」ではなく、「いかに愛するか」ということ。

愛するということ 新訳版 作者: エーリッヒ・フロム,Erich Fromm,鈴木晶 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店 発売日: 1991/03/25 メディア: 単行本 購入: 33人 クリック: 227回 この商品を含むブログ (122件) を見る * はじめに 不世出の思想家、エーリッヒ・フ…

【書評】現代の精神分析(小此木圭吾)

" data-en-clipboard="true"> 現代の精神分析 フロイトからフロイト以後へ (講談社学術文庫) 作者:小此木啓吾 講談社 Amazon " data-en-clipboard="true">* フロイト理論を読み解く6つのモデル 精神分析とは19世紀末、オーストリアの精神科医ジークムント・…

倫理としての自炊--ユリイカ2025年3月号『特集=自炊』

* 自炊と批評 春は進学や就職によるひとり暮らしをきっかけに多くの人が「自炊」を始める季節でもあります。そうした季節柄を意識してかどうかはわかりませんが、今年のユリイカ3月号の特集テーマは「自炊」です。日本を代表する文芸批評誌と「自炊」という…

ポストモダンにおける永遠回帰の命法--舞城王太郎『九十九十九』

* 動物の時代における人間の条件 東浩紀氏の代表的著作である『動物化するポストモダン』(2001)の続編である『ゲーム的リアリズムの誕生』(2007)は一般的に当時のオタク系文化を席巻していたライトノベルや美少女ゲームについて論じた著作であるとされ…