かぐらかのん

本や映画の感想などを書き記していくブログです。

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

日常系におけるヒューマニズム--スローループ(うちのまいこ)

*「ゆるい日常」を描く意義 日本初の萌え4コマ専門誌として芳文社より2002年に創刊された「まんがタイムきらら」は3〜5人位の10代女子の会話劇を中心とした「ゆるい日常」を描き出すいわゆる「日常系」の牙城として知られています。日常系作品はゼロ年代に…

〈一者〉の享楽と発達障害--こちらあみ子(今村夏子)

" data-en-clipboard="true"> こちらあみ子 (ちくま文庫) 作者:今村夏子 筑摩書房 Amazon " data-en-clipboard="true">*〈一者〉の享楽と〈他者〉の欲望 多くの人はそれぞれ、その人だけの「特異性」をもった存在として「一般性」の中で折り合いをつけなが…

【書評】動物化するポストモダン(東浩紀)

* 動物化--ポスト神経症的欲望の到達点 かつて1960年代に一世を風靡した「構造主義」の首領にして精神分析中興の祖として知られるジャック・ラカンは人間の精神活動を「想像界」「象徴界」「現実界」という三つの位相の絡み合いの中で、その心的構造を「…