かぐらかのん

本や映画の感想などを書き記していくブログです。

「自信」を持ちたいのなら「自信の構造」を理解しましょう。

 
 
「自信」というのはなかなか悩ましい問題です。
 
「転職したいけど新しい職場でうまくやっていく自信がない」「空気を読む自信がなくてなかなか人の輪に入れない」「容姿に自信がなくて異性に話しかけられない」
 
「いつも自信満々なあの人が羨ましい」「自信さえあればもっとより良い人生が開けてくるはずなのに」
 
何事も自信が持てないが故にうまくいかず、そしてますます自信を無くしてしまう悪循環に陥ってしまうこともあるでしょう。
 

* 「DOの自信」と「BEの自信」

 
「自信を持って」というアドバイスくらい、正しく、そして役に立たないアドバイスもないと思います。「自信を持ちたくない」などという人はあまりいないでしょう。皆、自信を持ちたいけど、どうすればいいかわからないから悩んでいるんです。
 
では、どうすればいいのでしょうか?「自信」を身につけるにはまず、「自信の構造」とはどのようなものかを理解する必要があります。
 
この点、対人関係療法の第一人者である精神科医水島広子先生は「自信」を「DOの自信」と「BEの自信」に分けて考えることを提案しています。
 
「本当の自信」は状況に左右されないものですから、「DOの自信」をどれほど積み上げても「本当の自信」にはなりません。では「本当の自信」とはなんでしょうか。その基本となるのは、実は「BEの自信」です。
 
水島広子「『本当の自信』を手に入れる9つのステップ」より/Kndle位置No.344)

 

「DOの自信」というのは、成功体験などの「成果」や、他人の自分に対する「評価」から来る自信です。
 
「DOの自信」だけいくらあっても「本当の自信」にはなりません。「成果」や「評価」をいくら積み上げても、ひとたび状況が変われば「DOの自信」は簡単に崩れ去ってしまうからです。
 
これに対して「BEの自信」は「自分のあり方」を大切にする「そこはかとない肯定感や安心感」です。
 
「常に冷静でいるべき」ではなく「できるだけ冷静でいたい」。「まずは他人を優先すべき」ではなく「できるだけ他人のことを考えてあげたい」。こんなふうに、完璧主義的な「べき」ではなく、「できるだけ◯◯したい」と思うのが「BEの自信」の特徴です。
 
水島広子「『本当の自信』を手に入れる9つのステップ」より/Kndle位置No.376)

 

「BEの自信」とは「できるだけ◯◯したい」というあくまで「自分のあり方」であり、「成果」や「評価」に左右されません。
 
実際に実行できなくても、そのできなかった現実を「今はこれでよい」と客観的に捉え直す。そして、またそこで改めて「〜したい」という「自分のあり方」に立ち戻る。
 
このシンプルな繰り返しです。つまり、「 BEの自信」とは、その場その場で吸い込む空気のようなものだということです。
 
この「BEの自信」に支えられた「DOの自信」。これを「本当の自信」といいます。
 

* 自分は何を「できるだけ◯◯したい」のかを考えてみましょう

 

別に難しく考える必要はないんですよ。まず、自分は何を「できるだけ◯◯したい」のかを考えてみる。
 
「できるだけ今やるべきことを集中したい」「できるだけありのままを受け入れたい」「できるだけ人に優しく分け隔てなく接したい」「できるだけ笑顔を絶やさないでいたい」等々。
 
考えてみると色々出てくるでしょう。これらの「できるだけ◯◯したい」を書き出しておく。そして、登校や出勤の前に読み返してみる。これだけでも随分と違うと思います。
 

* 〈他者〉の欲望が生む「生きづらさ」

 
もちろん人生は「DO」の連続です。世間的な「成果」や「評価」を追い求めるのは悪いことではありません。人間、欲望がないと生きていけません。欲望は何事かを成し遂げる大きな原動力です。
 
けれども、ジャック=ラカンがいうように人の欲望は「〈他者〉の欲望」です。「成果」や「評価」を追い求めるだけの人生とは、どこまでも〈他者〉に囚われた生き方であり、様々な「生きづらさ」を生み出す原因となってくるわけです。
 
今は「DOの自信」を持ち辛い時代です。終身雇用や年功序列が崩壊し、テクノロジーの発展やグローバル化の進展の中で、これまで個人がたゆまぬ努力で誠実に積み上げてきたキャリアやスキルが秒速でゴミ屑同然になることも普通にあったりするわけです。
 
そういう時代だからこそ、状況に振り回されることのない「自己肯定力」というのは必須のスキルと言えるでしょう。今はちょうど進学、就職、転勤、異動など、転機が訪れる時期ですね。もしも新しい環境に馴染めるか一抹の不安を持っているのであれば、この機会に一度、「自分のあり方」を見つめ直すのも良いかもしれませんね。