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かぐらかのん。

日々のくらしのメモ帳です\(^o^)/

ジャック・ラカン「テレヴィジオン」〜最狂にして最幸の精神分析理論を気軽に体感できる一冊です♪

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精神分析の世界ではその創始者フロイト以上に熱狂的な支持者をもつジャック・ラカン。引きこもり問題の専門家として名高い精神科医斎藤環先生もよく知られたラカニアンですね。
 
ラカンという人は斎藤先生曰く「性格は最悪なのに理論は最高」というなかなか素敵な人でして、そういう面倒くさいキャラクターが災いして、国際精神分析協会もクビになったりしてますが、独自の視点から緻密に紡ぎ上げられたその理論体系は、あたかも世界の全てを見通せるかの如く怜悧かつ深遠、なおかつ、読む人を惹きつけずにはおれない極上の煌びやかさに満ちています。私もふとしたはずみで何を間違ったのかすっかりラカンの魅力にやられてしまったクチなのです\(^o^)/
 
本書はそのラカンが何かの気まぐれでテレビ出演した時の速記録。改訂版が今月出たので早速読んでみました!
 
ラカンといえば、その難解極まりない叙述で悪名高い主著「エクリ」は言うに及ばず、講義録「セミネール」にしてもなかなか敷居が高い本なんですが、本書は一般テレビ視聴者向けということもあり、比較的やさしい言葉で語られていると、されています。
 
いやでもね、そうは言っても、やっぱり普通に難しいですよ・・・出だしからいきなり、こうですよ。
 
わたしはつねに真理(la vérité)を語ります。すべてではありません。なぜなら、真理をすべて語ること(toute la dire)、それはできないことだからです。真理をすべて語ること、それは、素材的に、不可能です。つまり、そのためには、言葉(mot)が不足しているのです。真理が現実界に由来するのも、まさにこの不可能によってです。だから白状しますが、この喜劇(comédie)に答えようとして、結局それはくずかご(panier)ゆきがいいところでした。つまり失敗 (rater)したのです。しかしだからこそ、一つの失策(erreur)としてみれば成功しています。もっと適切な言い方をするのなら、ひとつの散策(errement)として成功しているのです。
 
リアルタイムで視聴していたフランス人も多分、口開けてポカンだったでしょうね・・・特に後期カランの4つのディスクールの理論やら性別の論理式への造形が深くないと理解は厳しいかも。
 
本書の帯には「唯一にして最良の入門書」とありますけど、これはおそらくラカン関連本を少なくとも10冊は読んだ人向けの、という注釈をつけるべきでしょう。
 
もっとも、理解できるかできないかは別として、とりあえずは「生のラカン」を身を以て体験してみたいと思う人には、確かにある意味で「唯一にして最良の入門書」であることは間違い無いと言えるのかもしれません。ラカン著作って高いし、分厚いんですよ。この点、本書は税抜き600円で100ページ足らずなので気軽に買えるし、少なくとも読んだ気分になれる(笑)
 
その辺の当たり障りのないことしか書いてない自己啓発本に飽きた方、最狂にして最幸の精神分析理論に触れてみたいなどと思う変わり者の方などに、是非オススメです\(^o^)/
 
テレヴィジオン (講談社学術文庫)

テレヴィジオン (講談社学術文庫)